朗読をするときには、「この言葉を目立たせたい」と思う言葉は強調(プロミネンス)して読みます。
プロミネンスの用語の定義は
朗読の勉強でよく使う用語解説(1)
で、紹介しています。
しかし、「目立たせたいと思っているのに、目立たない」「目立たせたくないのに、目立ってしまう」という現象が発生してしまう事があります。
その理由はどこにあるのか、を解説していきます。
音の上がり目はいつもあるとは限らない
2016年5月に発売されたアクセント新辞典の解説編に音階の仕組みが掲載されていました。
ある単語が単独で発音したときに1拍目から2拍目にかけて音階が上昇するというのは、普遍的・全般的に起こることである。(中略)あることばが最終的にどのような音階で発音されるのかは、まず「その語の固有のアクセント(下がり目があるかないか)」と「修飾語を前に伴っているかどうか」によって大きく左右される。
NHK日本語発音アクセント新辞典 NHK出版 解説編 アクセントの示し方 10ページ
辞典では図入りで掲載されています。
この考え方と強調プロミネンスが大きくかかわってきます。
上がり目ということばをイメージしてもらうために、次の音声をお聞きください。単語が6つです。
注目して聞いてもらいたいのは
「てがみ」の2拍目の「が」
「パソコン」の2拍目の「ソ」
「けしょうひん」の2拍目の「しょ」
この音声では「が」「ソ」「しょ」を上げていない読み方、上げた読み方をしています。
2拍目を上げている音声とあげていない音声では、聞こえてくるイメージが違いますね。
強調するには、2拍目をあげる
今度は文章の音声をお聞きください。
「あのてがみは、わたしのものだ」2パターンです。
注目してもらいたいのは、「わたし」の2拍目「た」です。
1つ目は「わたし」の「た」をあまり上げていないので、「わたし」が目立っていません。
2つ目は「た」を上げています。すると「私」が目立ち強調されたようにに聞こえますね。
強調しないときは、2拍目をあげない
今度の音声も「あのてがみは、わたしのものだ」の2パターンです。
注目してもらいたいのは、
1つ目の音声は「てがみ」の2拍目「が」
2つ目の音声は「ものだ」の2拍目「の」
いかがでしょう。なんだか不自然ですよね。
2拍目をあげているので、強調されてしまい不自然になっているのです。
(もちろん「てがみ」を強調したかった、とか、「もの」を強調したかったんだ」という場合は、この読み方が正解になってきますが・・)
まとめ
どのことばを強調するか、は、ひとそれぞれの考え方です。
気を付けたいのは、「意図せず強調されてしまった」ということがないようにすることです。
ただし、2拍目を意識しすぎると、
朗読で「しゃくる」癖を直すコツ
ということになるので、注意してくださいね。
かなり細かいところですが、がんばって挑戦してみてください。
強調(プロミネンス)は音の高低以外でも緩急、間(ま)などでも変化をつけることができます。
詳細は
効果的に強調する表現方法
で紹介しています。
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