朗読の勉強でよく使う用語解説(1)

朗読

こんにちは!
朗読のコツを紹介している朗読講師のさとうです。

朗読を、本や教室で勉強するときに「イントネーションをつけて」「ポーズが足りない」「表現力をもっとつけて」など、いわゆる「専門用語」が書かれていたり、専門用語で指導されたりします。

そんなとき、内心「イントネーションってなんだろう」「表現力ってなんのこと?」と思っていても、(今さらそんなこと聞けないなぁ)と思う場面ってありませんか?

また「イントネーション」「表現力」など用語の意味が正しく理解していなければ、本に書かれていることも、指導されている内容も正しく理解できないってことになりますね。

そこで今日はあらためて、「朗読でよく使用する用語」を音声付で解説します。

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アクセント

(1)一つ一つの語について社会慣習的に決まっている,相対的な高低や強弱の配置。英語・ドイツ語などに見られる「強弱アクセント」と,日本語などに見られる「高低アクセント」との二種がある。音調。アクサン。
(2)話し方の調子。語調。
(3) 〔音〕 特に強く拍を打つ部分。強調される音。
(4)デザインなどで,全体をひきしめるため,特に強調したり目立たせたりする部分や物。 「フリルで-をつける」
(5) 強調する点。重点。 「構造改革に-を置く」
大辞林 第三版 (三省堂)

大辞林には上記のように説明されています。

プレゼンテーションなどのスピーチなどでは、「アクセント」と言えば、(2)(3)の部分のことを指します。
朗読の場合、「アクセント」と言えば、(1)のことになります。

「一つ一つの語の高低」です。

雨  アメ(高低) 音階でいうと、ミド
飴  アメ(低高) 音階でいうと、ドミ
買う カウ(低高) 音階でいうと、ドミ
飼う カウ(高低) 音階でいうと、ミド

朗読をされる方が一番悩むところも、このアクセントではないでしょうか。
地方の方に限らず、案外東京の方も悩まれることがあると思います。

先日大変興味深いTV番組がありました。
「”正しい”アクセント 誰が決める?」
朗読に限らず、一般の人も日常生活で「アクセント」は気になるようです。

アクセントの調べ方

(書籍)NHK日本語発音アクセント辞典 新版

(書籍)新明解日本語アクセント辞典 第2版 CD付き

(PC利用)OJAD(日本語教師・学習者のためのオンラインアクセント辞書)

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イントネーション(抑揚)

アクセントとよく似ている、または同じように使われているのがイントネーションです。

話し言葉で,話の内容や話し手の感情の動きによって現れる声の上がり下がり。文音調。抑揚。語調。
大辞林 第三版 (三省堂)

アクセントは「一つ一つの語の高低」に対して、イントネーションは「文音調」
「文」で考える高低、ということになります。

「抑揚」を辞書を調べてみると

音声や音楽・文章などの調子を上げたり下げたり,また強めたり弱めたりすること。また,その調子。

「イントネーション」「抑揚」ともに出てくるワードは「上げたり下げたり」ですね。
この「上げたり下げたり」が「高い低い」と一緒になってしまい、アクセントとイントネーションは混同しているのです。

ではイントネーション具体例を見てみましょう。

まず単語だけのイントネーションを考えてみます。
雨アメを上げ下げ感情を表現した音声をお聞きください。


1つ目が「メ」を下げたパターン
2つ目が「メ」を上げたパターン
3つ目が「メ」を上げて下げたパターン です。

どれも、同じ「アメ」ですが、「メ」の上げ下げでいろいろな表現ができますね。

では文を使った上げ下げ(イントネーション)を考えてみます。

「今は雨がやんでいます。」

この文を使って3パターンの表現をしています。音声をお聞きください。


1つ目「今」を上げる
2つ目「雨」を上げる
3つ目「やんでいます」を上げる

「上げる(高く言う)」ことで、何を強調したいのかを変えることができます。
しかし、ここで気を付けてもらいたいのは
「強調したいからイントネーションをつけよう、だから上げて言えばいい」と思わないことです。

効果的に強調する表現方法にも書いていますが、強調したい、という場合には、いろいろな手法があります。

では次に、強調したいときに使うプロミネンスについて解説します。

プロミネンス(卓立)

「プロミネンス」を辞書で調べると

(1) 太陽の紅炎(こうえん)。
(2)文中のある語句を強調するために,特に強く発音すること。卓立。
大辞林 第三版 (三省堂)

「強調」を辞書で調べると

(1)ある部分を特に調子を強めていうこと。また,意見・内容を強く主張すること。 「軍縮の必要性を-する」
(2)音楽・絵画などで,ある一部分を目立つように表現すること。
(3)相場で,上がりそうな気配のあること。
大辞林 第三版 (三省堂)

要はプロミネンスとは「目立たせること」または「印象づける」ということですね。

では、どんな方法を使えば「目立たせる」「印象づける」ことができるでしょうか。

プロミネンスの手法

目立たせるための方法は、
・目立たせたい単語を高く言う
・目立たせたい単語をゆっくり言う
・目立たせたい単語の前後に間(ま)をあける
などがあります。

では次の題材を使って、具体的にみてみましょう。

その中山から、少しはなれた山の中に、「ごん狐」という狐がいました。
「ごん狐」新美南吉

今回は「ごん狐」という単語を目立たせたいという意識で読んだ音声をお聞きください。


1つ目はプロミネンスなしで読んでいます。
2.3.4つ目はプロミネンスを意識して読んでいます。

まとめ

あらためて基本的な用語を解説しました。
用語は両者(聞き手話し手)が同じ意味でとらえておかないと意思疎通ができないですね。
この解説が朗読の勉強に役立てば何よりです。

・ポーズ(間(ま))
・チェンジオブペース(緩急)
・フレージング
・表現力
を、用語解説(2)で解説しています。

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