ひとつの作品を試行錯誤しながら、練習を繰り返しても、「なんとなく単調になってしまう」「山場が盛り上がらない」という悩みにぶちあたることがあります。
そんなときに、どこを直せば変化をつかられるのか、その解決のヒントを紹介します。
「単調」を直すには、間(ま)の長さを変える
まず、単調とは、どういう状態でしょうか。
辞書で調べると
同じような状態が続いて変化が乏しい・こと(さま)
大辞林
朗読で「同じような状態が続く」というのは、間(ま)を入れていたとしても、その、間(ま)の長さが同じだと「同じ状態が続く」という印象になってしまいます。
間(ま)をいれるところは
読点(、)の間(ま)(文中に書かれている読点以外にも意味のまとまりの読点も含みます)
句点(。)の間(ま)
段落の間(ま)
があります。
特に、一文の中の読点(、)の間(ま)が全部同じだと、単調と感じやすいです。
次の例題でみてみましょう。
母親はこんな苦しみの中にも、息子の心を思ひやつて、鬼どもの鞭に打たれたことを、怨む気色さへも見せないのです。
「杜子春」 芥川龍之介
2種類の音声で確認してみます。
最初は、読点(、)の間(ま)が同じ読み方
次に、間(ま)の長さを変えた読み方です。
いかがでしょうか。
どこを短く、どこを長くすればいいのか、については
朗読での間(ま)の使い方基本4選
朗読での間(ま)のあけかた応用3選
で、詳しく紹介しています。
また、単調、とは少し違いますが、
棒読みから抜け出す4つのステップ
も、参考になるかと思います。
「盛り上がらない」を直すには、緩急と間(ま)のあわせ技
盛り上がるためには、なんといっても緩急が必要です。
このブログの中でも一番多く紹介しているのは緩急です。
それぐらい、緩急は朗読の中で重要な表現力のひとつです。
盛り上げるためには、聞き手の人が(このあとどうなるんだろう)と想像する時間が必要です。その時間を間(ま)で作るのです。
はらはらと涙を落しながら、「お母さん。」と一声を叫びました。 その声に気がついて見ると、
「杜子春」芥川龍之介
この場合、「一声を叫びました」までを速く読みます。
そして、長~い間(ま)を取ります。(どうなるんだろう)と考える間(ま)です。
間(ま)のあと、「その声に」をゆっくり読みます。ゆっくり読むことで、間(ま)と速く読んだ部分が印象に残ります。
速く→長い間(ま)→ゆっくり
「はらはら涙を流しているんだから、ゆっくり読んだ方がいいのでは」という考え方もあると思います。
その場合は、
ゆっくり読みたい、と思う部分の前段階を速く読みます。
速く→ゆっくり→長い間(ま) という順番です。
緩急については
朗読での間(ま)と緩急でこれだけ変わる
朗読がうまく聞こえる読み方のコツ
朗読の読み方を変える緩急の使い方
朗読をリズムよく読むコツ
でも、紹介しています。
まとめ
単調さは、間(ま)の長さを変える
盛り上げは、緩急と間(ま)のワンセット
特に、盛り上げる部分は、聞き手の想像する時間、余韻の時間というのを話し手が想像すれば、どこに間(ま)をとればいいか、がわかってくると思います。
ぜひ試してみてください。
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