朗読をするときは「相手に伝わるか」ということを、いつも意識されていると思います。「相手に伝わる」だけではなく、「正確に」伝わらないといけません。
今日は、聞き手に正しく伝わる読み方のコツを紹介します。
意味のまとまりで読む
朗読をするときに、私たちが読むものは、小説などです。
小説は「書き物(書き言葉)」としての読点や句点がつけられています。
書き物の場合は、何度も読み直すことができますが、聞き手はそうはいきません。
一度聞いただけで、正確に伝わらないといけないのです。
そのために大切はことは、意味のまとまりで読む、ということです。
例えば
「大きな目の、白い猫を、抱いた、女の子」
という文章。
どう読めばいいでしょうか。
次の音声をお聞きください。3つ続きます。
1つ目は、上記文章通りに読んだだけです。何の印象も残りません。
2つ目は「大きな目の女の子なのかな」と想像し、まとまりを考えた読み方です。
3つ目は「猫が大きな目で白いんだろうなぁ」と想像し、まとまりを考えた読み方です。
2つ目、3つ目のように、まとまりの区切り位置を変えれば、聞こえ方が違う、ということがわかると思います。
では、実際の作品で考えてみましょう。
ふと、そこに、大きい岩を背後にして、この島には珍しい椰子の木が、十本ばかり生えているのを見た。
「俊寛」菊池寛
3つ音声が続きます。
1つ目「この島には珍しい椰子の木が」
2つ目「この島には珍しい、椰子の木が」(この島の中で椰子の木があるのが珍しい)
3つ目「この島には、珍しい椰子の木が」(珍しい椰子の木がある)
いかがでしょう。区切る位置で意味が違って聞こえますよね。
自分がその文章を読んで、どう聞き手に伝えたいかを考えて、まとまりごとに区切って読みましょう。
まとまりで読む、ということに関しては
朗読の勉強でよく使う用語解説(2)
朗読での間(ま)と緩急でこれだけ変わる
でも紹介しています。
つながり(かかっている言葉)を考える
次に重要なことは、「何にかかっているか」を考える事です。
この島には珍しい椰子の木が、十本ばかり生えているのを見た。そしてその椰子に覆われた鳶色の岩から、一条の水が銀の糸のように滴って、それが椰子の根元で、小さい泉になっているのを見た。
「俊寛」菊池寛
「その椰子に」の「その」は何を指しているのか。
「それが椰子の」の「それが」は何を指しているのか。
「その」「それが」の部分に注目して音声をお聞きください。2つ続きます。
(「その」「それが」の変化がわかりやすいように、あまり抑揚はつけていません)
1つ目は何も考えずに「その」「それが」を読んでいます。
2つ目は「その」は「10本ばかりの椰子」を指していて、「それが」は「一条の水」を指したつもりで読んでいます。
聞こえ方が違いますよね。
何にかかっているか、なんのことを指しているのか、を考え、想像することが重要です。
考えるだけでも、読み方は自ずと変わってきます。
まとめ
相手に正確に伝えるためには
意味のまとまりで読む
何にかかっているか、つながりを考えて読む
まとまりで読む、ということがよくわからない、という人は、書かれている読点を全部消してしまいましょう。
そうすると、迷いがなくなり、自然とまとまりで読めると思います。
ぜひ試してみてください。
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