こんにちは!
朗読のコツを紹介している朗読講師のさとうです。
「この作品を朗読したいなぁ」
「でも、ここの文章なんて何度もよまないと意味がわからなかったら、聞いている人がわかるように朗読するのは、難しいだろうなぁ」
と
「この作品を朗読したいけど、難しい・・・」と感じて、泣く泣く断念したことはありませんか?
「難しい」と感じる理由は、いくつかありますが、一文が長い文章、というのは、読むのが難しいものです。
(ここでは一文といのは、句点(。)までのこととしています。)
一文が長いものは、黙読する段階でも意味がわかりにくいですね。
それを耳で聞いて理解してもらうためには、かなり工夫をしないと、聞き手に伝えることは難しいです。
今日は一文が長い難解な文章を読むときのコツを紹介します。
本日の題材です。
自分の罪を――たとえ向うから挑まれたとはいえ、主人の寵妾と非道な恋をしたという、自分の致命的な罪を、意識している市九郎は、主人の振り上げた太刀を、必至な刑罰として、たとえその切先を避くるに努むるまでも、それに反抗する心持は、少しも持ってはいなかった。
「恩讐の彼方に」菊池寛
まず、工夫をしていない朗読をお聞きください。
普通に読むと意味がわからないですね。
では聞き手に伝わる読み方に変えていきましょう。
意味のまとまりを考える
朗読で大事なことは、意味のまとまりを考えることです。
一文が長い場合も一緒です。
今回の長い一文も、大きく分けると
「自分の罪をーーーたとえ向こうから挑まれたとはいえ、主人の寵妾と非道な恋をしたという、自分の致命的な罪を、意識している市九郎は」
と
「主人の振り上げた太刀を、必至な刑罰として、たとえその切先を避くるに努るまでも、それに反抗する心持は、少しも持っていなかった。」
にわけられます。
さらに前半部分を細かくまとまりを考えると
「自分の罪を/(たとえ向こうから挑まれたとはいえ)主人の寵妾と非道な恋をしたという自分の致命的な罪を意識している市九郎は/」
意味の切れ目に/を入れました。
( )の部分は、他の地の文とは少し意味が違いますね。
そういうところは他と読み方を変える必要があります。
同じく後半をさらに細かくまとまりを考えると
「主人の振り上げた太刀を/、必至な刑罰として(たとえその切先を避くるに努るまでも)それに反抗する心持は少しも持っていなかった。」
以上のように、まずは、大きなまとまり、次に細かく意味の切れ目を考えます。
意味の違う部分はスピードを変える
( )で括っている部分は、心の声(今回の場合は釈明)です。
釈明である、ということがわかるように、速く読むことで、他の文章との違いを表現できます。
読点の間(ま)の長さに変化をつける
ひとつのまとまりの中では、読点を消す、あるいはかなり短めの間(ま)にします。
「主人の寵妾と非道な恋をしたという(短い間(ま))自分の致命的な罪を意識している市九郎は」
そのかわり、意味の切れ目にあたる読点は間(ま)を長くとります。
「自分の罪を/(長めの間(ま))たとえ向こうから」
意味の切れ目は高く入る
今回の場合だと、意味の切れ目の言葉は
「自分の罪を」
「主人の寵愛」
「主人の振り上げた」
「必至な刑罰」
高めに入ると、意味が変わった、と感じさせることができます。
ではそれらを加えた音声をお聞きください。
まとめ
一文が長い難解な文章を読むときは
・大まかな意味のまとまりを考える
・その中で細かく意味の切れ目を考える
・読点は間(ま)の長さを変える
・意味の切れ目は高く入る
これらを実践するためには、「まず自分が理解する」ということが大事ですね。
理解できるまで何度も文章を読みましょう。
そして、いろいろな作品に挑戦して、朗読を楽しんでくださいね!
※「意味のまとまり」をどこからどこまで、と考えるかは、人それぞれ捉え方は違うかもしれません。今回あげている切り方は一例として提示しています。
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