朗読での間(ま)の使い方応用3選

朗読

2015年記事を改変しました(2017.8.10)

こんにちは!
朗読のコツを紹介している朗読講師のさとうです。

前回「朗読での間(ま)の使い方基本4選」で、どんな場面で間(ま)をあければいいのか、を紹介しました。

間(ま)いうと難しい、というイメージを持たれていませんか?
前回紹介した記事を読まれた方は「結構かんたん!」と思われたのではないでしょうか。

今日はもうちょっと難しめの話です。

朗読するときは、間(ま)の長さの種類がたくさんあるほど、「表現力豊か」に聞こえます。

全部が同じ間(ま)の長さだと単調に聞こえてしまいます。

基本の「間(ま)をあける」ことができれば、次に応用として、「いろいろな長さの間(ま)をあける」ということにチャレンジしてみましょう。

今日の題材です。

唐の都洛陽の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでゐる、一人の若者がありました。
若者は名は杜子春といつて、元は金持の息子でしたが、今は財産を費ひ尽くして、その日の暮しにも困る位、憐な身分になつてゐるのです。
何しろその頃洛陽といへば、天下に並ぶもののない、繁昌を極めた都ですから、往来わうらいにはまだしつきりなく、人や車が通つてゐました。
「杜子春」芥川龍之介

小学生の頃の習った音読では、読点(、)は1拍、句点(。)は2拍、などと習った記憶があるかたもいるかもしれませんね。

朗読をし始めたばかりの人、どうしても間(ま)をあけることができない人、スピードが速い人などは、上記のルールは効果的かもしれません。

しかし、このルールで、例文の「杜子春」を読んでみると、朗読が単調になります。

すべて同じ間(ま)の長さで朗読した音声をお聞きください。

いかがですか?ゆったり感はでますが、表現力、という点では物足りないと思います。

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文章の意味、かたまりで間(ま)の長さを変える

では、一文ずつ見てみましょう。

唐の都洛陽の西の門の下に、ぼんやり空を仰いでゐる、一人の若者がありました。

この場合、「下に、」「いる、」の2か所に読点があります。両方同じ長さの間(ま)ではありません。
文章の意味を考えると、「ぼんやり空を仰いでいる一人の若者」がひとくくりと考えられます。
ということは、「下に、」の間(ま)より、「いる、」の間(ま)のほうが短いということになります。

同様に

若者は名は杜子春といつて、元は金持の息子でしたが、今は財産を費ひ尽くして、その日の暮しにも困る位、憐な身分になつてゐるのです。

「困る位憐れな身分」がひとつの言葉だと考えられるので、「位、」の間(ま)は短い。
「息子でしたが、」と「今は」というのは、過去と現在、というふうに場面が変わるので、少し長めの間(ま)。

などと考えていきます。

では、文章の意味、かたまりを考えて、間(ま)の長さを変えた朗読ををお聞きください。

読点のないところに、短めの間(ま)をいれる

述語の前や、強調したい言葉の前に短めの間(ま)を入れます。
ほんのわずかな間(ま)でかまいません。
少し区切るだけで、印象に残ります。

間(ま)をあけた、というのがわかるぐらいの長さの間(ま)にすると、ブツ切れの印象になってしまうので要注意です。

「若者は名は(ほんのわずかの間(ま)杜子春といつて」
「憐な身分に(ほんのわずかの間(ま))なつてゐるのです」

長めの間(ま)のときは息を吸う、短めの間(ま)のときは息を吸わない

間(ま)の長さを自分で意識して調整するのは難しいものです。
小学生の音読でしたら、心の中で「1・2」と数える。というのもあるようですが、朗読ではそうもいきません。

そんなときに便利なのが「息づかい」です。

しっかり息を吸えば、自然と長めの間(ま)をとることができます。
逆に言えば、長めの間(ま)をとりたいところでは、しっかり息を吸いましょう。

では、短めのときはどうするかというと、息は吸わずに「とめる」感覚です。
そうすれば、短めの間(ま)をあけることができます。

では、最後にいろいろな間(ま)の長さを使った朗読をお聞きください。

まとめ

朗読の上達のコツ、秘訣に欠かせないのが間(ま)です。

意味のかたまりで間(ま)の長さを変える。
強調する言葉、述語の前にわずかな間(ま)をあける。
長めの間(ま)は息を吸う。
短めの間(ま)は息をとめる。
などを使って、今まで自分が持っていなかった「間(ま)の長さ」を発見してみましょう。

ぜひ試してみてください!

なお、「どこからどこまでを言葉のかたまりと捉えるのかわからない」「私はここまでがかたまりだと思う」など、言葉のかたまりの考え方は、個人の読解力や本の内容の捉え方などみなさん違うと思います。今回は一例としてあげています。

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